平成14年8月5日


買方苦境


先週の平均株価は9709円の前週比118円上昇で
3週連続安に小休止も市場の騰勢は弱く安値ゾーンの動き。

 米国市場の下落で投信の解約売りが日本株売りに繋がっている。
6月の米国株式投信の純流出額は
(過去最大だった昨年9月テロ事件の299億ドル)
180億ドル(2兆2000億円)と過去3番目の高水準だった。
7月は株式の乱高下が続いたので
資金流出がさらに激しくなった可能性が高い。
解約した資金は容易に市場に戻らないと想像できる。
米国市場は自律反騰しても
大勢が下降トレンドだから戻っても売られるパターンになる。

米国の4−6月期の成長率は
年率換算で1.1%となり(1−3月期の5.0%から)急減速した。
個人消費の伸びが鈍化し貿易赤字が急増した。
企業不正などに端を発した株価下落の影響が
本格的にあらわれる可能性がある。

需給関係で見ると個人投資家の逆張りの買いは
7月の4週(22日―26日)は(3週の616億円)818億円と
悪環境での2週連続の逆張り買いが目立った。
5週(29日―2日)も買い越しているかが注目される。
目立った売りは外国人と自己売買の裁定解消(現物売り)である。
事業法人は買い越しであるが、
相場が下落すると銀行や生保は持ち合い解消売りができず、
急いで先物でヘッジするぐらいであり、
下落に伴う評価損の発生で
自己資本がたちまち悪化してしまい金融危機に発展する。
平均株価の1万円割れで
ほとんどの金融機関で含み損が発生してしまう。
3月末の平均株価は11,024円であり週末比で13%の下落である。
現在の株価で推移すると中間決算においても
株式の損で業績の足を引っ張ってしまう。
株価の下落で裁定取引の裁定残高が減り
7月26日の裁定買い残が8億6500万株と
2月の今年の裁定を下回った。
解消売りを行うにも在庫が少なくなってきた。
逆サヤで裁定の売り残が増加している。


信用取引の買い方は評価損を抱え
引続き追証が発生している。
先週末の信用評価損率は概算17%で推移して苦しい局面である。
その中心はハイテク銘柄である。
信用の評価損が大きくなると 悪材料が出て下がると耐えられない売り物が出て
下落に拍車をかけてクライマックスを迎える。
株価がこつんと底を打つわけである。
これは信用の投げ、投げざるをえない売りで
究極の底をつけるから逆にこれが1年に1,2回の買い場になるわけである。


小泉内閣の政策に変化が出てきたのか。
そもそも改革を打ち出した時は米国の依存で景気回復をはかる。
雇用も新産業に転化していくから
十分に吸収できると言っていたが、
シナリオが根底から崩れている。
30億の国債発行額にこだわらないとか
1兆円の減税とか発言に政策転換が見られる。
株価が下落しこのままではどうにもならないから
橋本内閣の終わりに似てきた。
構造改革ではデフレが進行しいずれも
「二頭を追うものは一兎も得ず」になってきた。

金融庁は3月に導入して成功した株券を借りて売る
「空売り」の価格規制を9月から機関投資家の信用取引にも適用する
(個人投資家は信用の売りの規制はない)
「柳の下に泥鰌は2匹もいない」株価が「往って来い」になってしまい
金融界の株価下落の影響は不良債権の泥沼か
ペイオフも根底から揺さぶりで当局のあせりが見える。
景気刺激の一環として2004年春から新札の発行となったが
20年前も新札の発行から
バブル経済への序曲となったから先々刺激になろう。
平均株価1万円以下は経済の失政にもなるから
必死に株高政策を打たねばなるまい。
今まで通りの口だけの対策であれば株価の底が抜け
パニックになる可能性を潜めている。

デフレが続く以上当然の結果でもある。
政策が出ても秋以降になろう。

テクニカル的にとりあえず米国の株価をみながらも
第2波の下げは7月8日から21日間経過している
(5月27の高値から6月26日まで第1波の下げは23日間の調整だった)
8月6、7日は目先底打ちの可能性もある。

薬品は総じて大幅下落から反転したが、 山之内武田等は逆行高。
富士通NEC日立が振るわず安値更新中、
外人売りと信用買残が増加して先が見えず、
新日鉄も崩れてしまった。
中国関連も動きが鈍ってきた。
相場全体のしこりが拡大しているから
株価は大幅下落で投げないと底を打たない。





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